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ちょっと、otonaの悩み。
ちょっと、otonaの悩み。

日々の生活にアロマを取り入れたいけど、どんな香りを選べばいいのかわからない。香水をつけたいけど、匂いがキツすぎないか心配……。香りに関するお悩みは少なくありません。小川香料株式会社 フレグランス開発部長の佐久間克也氏にアロマと香水との上手な付き合い方について教えてもらいました。

  • アロマテラピーにはさまざまな方法がある 近年、広く浸透した言葉で“アロマテラピー”があります。アロマテラピーとは、精油の香りをかいだり、皮膚につけることで健康や美容に役立てる自然療法です。精油を使ったアロマテラピーの方法というと、ディフューザーやアロマキャンドルを使って香りを空間に広げる方法などが頭に浮かびますが、実は芳香浴、湿布、入浴、トリートメントとさまざまな方法があります。

  • 芳香浴

    精油を空気中に拡散させて、呼吸器から取り入れる方法。一般的に「アロマ」というと思い浮かぶものです。ディフューザーやアロマポットを使って精油を気化させます。

    湿布

    精油を含んだ湿布を患部に当て、皮膚や呼吸器から取り入れる方法。鎮静や抗炎症作用を持つ精油が用いられます。温湿布、冷湿布どちらも用いることができます。

    入浴法

    バスタブのお湯に精油を加え、皮膚や呼吸器から取り入れる方法。全身浴や半身浴だけでなく、手浴や足浴など、部分的にも用いられます。

    トリートメント

    精油と植物油をブレンドしたものを、患部にあてて皮膚や呼吸器から取り入れます。筋肉の弛緩や血行促進の効能をもつ精油を用いるのが一般的です。

  • 香りの提案 日々、生活に密着した香りの提案や開発をしていることもあり、さまざまな測定方法を用いて、科学的な目線から香り効果の実証をおこなっています。
    資料1に上げているのは、比較的オーソドックスな香りになります。使う上で注意していただきたいのは、「苦手な香りをかぎ続けない」ということです。ご自身があまりいい香りだと感じないのに無理をして かいでいても、それ自体がストレスになってしまい逆効果になってしまいます。まずは自分自身が気に入るかどうかで選ぶのがよいでしょう。

    (資料1)
    効果 香料
    覚醒(意識がハッキリする) ジャスミン油
    鎮静 ラベンダー油、カモミール油、当帰
    抗ストレス ペパーミント油、ジャスミン油
    睡眠の抑制 ユーカリ油、ローズマリー油
    眠気の促進 ジャスミンラクトン(ジャスミンの香り)
    鎮痛 ローズ
    皮膚のバリア機能の回復 ローズ
  • 香りを身に着ける 香水は、ヨーロッパを中心に親しまれ、それが日本にも渡ってきました。現在、自分を演出するためのアイテムとして浸透している香水は、地域性を如実に反映した香りのアイテムだといえます。

    大昔のヨーロッパは、日本と異なり水資源が少なく、インフラも整っていなかったため頻繁にお風呂に入るという習慣はありませんでした。もちろん、日本も現在に比べてお風呂に入る頻度が低かったのですが、潔癖症と言われていたマリー・アントワネットの入浴の頻度が1ヶ月に1度ということから考えると、一般庶民の生活は、とても不衛生な環境だったことがうかがえます。

    その当時、“香りを身に着ける=体臭を隠す”ことが主な目的だった香水は、さまざまな発展をとげ、現在のアイデンティティを表すアイテムになりました。ちなみに日本では、“香りを漂わせる”お香が好まれていました。

  • トップノート 香水をつけてまず最初に感じる香りを「トップノート」といいます。香水の第一印象に重要な影響を与えます。揮発性が高いレモンやグレープフルーツなどの柑橘類や、若葉を想起させる爽やかなグリーン系の香りなどが含まれます。

    ミドルノート 次に感じるのが「ミドルノート」。揮発性は中程度で、その香水の香りの中心となる部分です。ミュゲ(スズラン)やローズ、ジャスミンといった、優雅な花の香りが多く見られます。

    ラストノート 最後に感じるのが「ラストノート」。揮発性が低く、最後まで残っている香りです。ムスクやバニラ、ウッディな香りなど、濃厚なものが主流です。

    香りを身に着ける上で、抑えておくと便利なのが「香りの仕組み」です。時間とともに変化する香りを感じてみるのも、香水の楽しみ方のひとつです。パッケージや商品説明に、トップノート、ミドルノート、ラストノートがどのような香りか記載されていることも多いので、チェックしてみるといいかもしれません。

  • 香水の付け方3つのポイント 香水の楽しみ方以外におさえておきたいのが“香水のつけ方”です。香水の香りが強すぎて気分が悪くなる……そんな体験をされた事はないでしょうか。香水をつける際、品よく香らせるための3つのポイントをご紹介します。

  • ポイント1
    香水は体温の高い場所につける
    香水を温めることで、香水に含まれているアルコール分を揮発させ、香りを立たせることができます。耳の後ろ、首筋、手首、内ももなどにつけるのがおすすめです。
    ただし、つけすぎには注意しましょう。


    ポイント2
    上半身より下半身につけるほうが効果的
    香水というと、手首や耳の後ろにつけることが多いですが、香水をつける場所としておすすめなのは、実は下半身。下半身につけても香りを感じにくいのでは?と思いますが、香水の香りは下から上に流れていく特性があり、きちんと香ってくれます。体温の高い内ももにつければやわらかな香りが立ちます。鼻から遠い位置にあるアキレス腱や足首につけると、きつくなりすぎず、ほんのり香ります。膝の裏側もつけやすい部分。汗をかいても香りの変化が少ないのが特徴。また、ウエストも香りが長時間持続するのでおすすめです。


    ポイント3
    人と会う20~30分前には付けておく
    香水をつけたてのときは香りが強く出ます。そのため、人と会う直前に香水をつけてしまうと「香りがキツい」という印象を与えてしまう可能性があるのです。20~30分ほど経つと落ち着いた香りになるので、逆算してつけるとよいでしょう。





    奥深い香りの世界。アロマや香水は、香りを楽しむもっとも身近なツールです。TPOに合った香りを見つけ、一段上の香りとの付き合い方をしてみたいものです。

  • 小川香料株式会社
    フレグランス研究開発部長佐久間 克也

  • 1988年城西大学大学院薬学研究科修了後、漢方の外用効果を研究し博士(薬学)取得。化粧品メーカー勤務を経て、小川香料株式会社入社。香料素材を研究する機能研究所の所長から、現在、香粧品香料と日用品香料を開発する部署に異動してフレグランス研究開発部部長となる。